ゴーゴー嬢に恥をかかせてはいけない!

ゴーゴー嬢に恥をかかせてはいけない!

ビーチでの散歩を終えてホテルに戻る。朝食が食べたくて弟に連絡。合流してホテルの5Fにある朝食テラスに向かった。目の前一面に海が広がり、5Fという高さが程よく海を近くに感じさせる。素晴らしいローケーションだった。

気持ちの良い食事をしながら、話題はすぐに昨夜の話になった。

「大学生、どうだった?」

「普通」

「普通ってなんだよ?」

「なんか酔っ払ってゴム取りに行くの面倒だったから、そのまま寝てたらナマチンチンのまま、やらされた」

…全然、普通じゃねーし…

「タイ行こうって行った時は、汚いだの、病気怖いだの、虫いるだの、散々言ってたのに、そういうの平気なんだ笑」

「しょーがないじゃん、やられちゃったんだから笑。で、そっちのハッピーママはどうだった?」

「誰だよ、ハッピーママって笑」

「なんか若奥様みたいだったじゃん笑」

…あ、やっぱそう見えてたのね…

「こっちも普通だった」

「塩対応じゃなかったの?」

「うん、普通だった。でもオッパイ舐めるとタオルで拭かれるんだよ笑」

「うわっ笑 全然普通じゃないじゃん。猛烈に塩じゃん!」

「いや普通。。 」

「いや、普通は拭かないから!笑」

「ところで、今日どうする?オレ今日もハッピーママにしていい?」

「え⁈オッパイ拭くのに⁈」

「まあ、それは置いといて。可愛いし、もっと馴染んだら楽しいんじゃないかと思うんだよねぇ」

「そこ、置いとけるんだ笑 まあ別にいいけど」

「大学生は?リピートしないの?」

「しない」

「ナマチンチンなのに?笑」

「しない。節操がない。」

「なんだよ、それ笑」

最高のロケーションで朝食をとりながら最低な話で盛り上がる。

節操の無い話はほどほどにしたところで、昼間は健全に観光でもしようかなど予定を決め、一旦解散した。

18時頃、軽く夕食を済ませてホテルに戻る。シャワーを浴びて再び外出。お土産屋をひやかしながらのんびりウォーキングストリートへ向かった。今回のパタヤ日程を決めた時には知らなかったのだが、タイでは明日、ウィサカヴーチャという日にあたるようで禁酒日となる。本日の深夜0時、日付が変わると同時にお酒の販売提供が一切出来なくなるようで、ゴーゴーバーもその時間に併せてクローズするとの事だった。

「どうする?オレはもうハッピーママにラインして今日も行くって言ってあるから適当にどうぞ。付き合うから。」

「適当に早めに決めるよ、店閉まっちゃうから」

まだ20時前だったが、SUGAR BABY がもうオープンしているようだった。ここには一度も入った事がなかったが試しに入店してみる。

まだ先客はおらず、我々2人が一番乗りのようだった。とりあえずビールをオーダーして周りの様子を見る。皆セーラー服を着ていて可愛いげだが、見渡した限りでは目に付くようなコはいない。ここで弟が選ぶ事はないだろうな、と思いながら時間潰しに乾杯する。キョロキョロと女の子達の様子を見ていると、我々からは離れた席に女の子達がかたまって待機しているのが見えた。その中に綺麗めな女の子が一人紛れている。

「ねえ、あのコ可愛いくない?」

「え?また⁈」

「また?ってなんだよ笑」

「早えーんだよ、いつも!笑」

「いるんだもん、仕方ないじゃん笑」

「で、どのコだよ?」

「あそこ。あそこに紛れて座ってるコ」

「いやいや、遠くて全く見えねーし。大丈夫?ちゃんと見えてる?」

「見えてる。なのでちょっと呼んでもよいでしょうか?」

「まじで?」

「だって可愛いげだから」

そう言って、毎度のごとく目標をロックオンする。結構遠いけど目が合うだろうか?そう思いつつ見ていると、女の子達のひとりが気づき、またひとり気づき、そこにいた5人全員が私のロックオンに気づいた。彼女達は、このオヤジが見ているのは自分じゃないと分かると、誰を見ているのかと騒ぎ出した。ほら、あなたを見てんじゃない?などと騒ぎながら当の彼女が、私なの!?と自分を指差して私に確認した。私は彼女に頷いて手招きする。と一斉に歓声を上げて彼女を囃し立てる。他に客もいないので店内のほとんどが我々に注目してた。

「やばい、なんか大ごとになっちゃった」

「オッサン、モテモテだな。いいなぁ笑」

近くにいたおばちゃんスタッフも様子を見ており、彼女を連れてくるか?と聞くのでお願いすることにした。

皆が注目してるなか、彼女が照れながら私の前に来た。握手をして挨拶をし、隣りに座ってもらう。彼女のドリンクをオーダーして、話をしてみる。

「初めまして。元気ですか?」

「元気です。あなたは?」

「とっても元気です!」

あまり慣れていないのか話が進まない。というより、私のテンションが上がらない。

「ノリ!間違えた。。」

「なに?」

「そうでもなかった。。」

「なにが⁈」

「そんなに可愛いくなかった。。」

「うわ、酷っ!今更それはないでしょ。さっき見えてる!って言ったよね笑」

「見えてたけども。。」

「あーあー、このコ可哀想。あんな騒がしといて」

「じゃぁ、お前が引き取ってくれ笑」

「なんでだよ!笑」

確かに、盛大に送り出されてきたのにすぐサヨナラは可哀想だ。彼女に恥をかかせてはいけない。どうしたものか。

「かわいいね!」

「可愛いくない」

「そう?あなたは私のタイプだよ」

「口が上手い笑」

「あなたは可愛いからカスタマーがいっぱいでしょ?」

「いない」

「なんで?」

「知らない笑」

「じゃ、私は今日からあなたのカスタマーね」

「ははっ」

「明日もあなたのカスタマーね」

「ホント?」

「ホント。また明日も来るね!」

「オッケー」

私が体良く断っているのは彼女だってわかってるだろう。だが気持ちの問題だ。せっかく来てくれたのだから感謝をせねば。しばらく話をして、程よいところでチェックをし、彼女にチップを渡す。また明日ね、と言って店を出た。素直で良いコだった。本当に明日また来てもいいかもしれない、そう思った。

20時を回り、ほとんどのバーがオープンした。さあ弟の相手を探さねばと、まずはBACCARA に向かって歩き出した。呼び込みをしている女の子達のなかに一人綺麗なコを発見する。チャイナドレスを着ていて色気もある。そのコがこっちを見て笑っている。これは可愛い、と思ってよく見ると、見覚えがある顔。店を確認するとCRAZY HOUSE となっている。

「あ!キラキラちゃんがいる!」

「あー、ホントだ」

「あれ、この前はINFINITYじゃなかったっけ?」

「そうだよね。また影武者じゃね?笑」

彼女に近寄ってみる。やはりキラキラちゃんだ。思わずハグをする。

「ちょっとここ入っていい?」

「あー、いいよ。大丈夫?本物?笑」

「多分本物笑」

そう言って彼女に腕を組まれて入店した。

「元気?」

「元気。あなたは?」

「元気だよ。なんでここにいるの?」

「お店を変えた」

「なんで?」

「踊るのは好きじゃない」

「ここでは踊らないの?」

「踊らない」

「あれ!? なんで英語?前は英語話せなかったでしょ!」

「はは 毎日英語で話すから」

たった4ヶ月の間に英語が話せるようになっている。会話がスムーズに出来るようになったのは良いことだが、反面少し寂しさを感じる。

「なんでラインをやめた?」

「電話が壊れて変えたら、あなたに送れなくなった」

「うそ」

「ホント!見て!」

そう言ってスマホを取り出してラインを開いて見せる。

私のラインIDを打てと言うので彼女のスマホに打ち込むと、新たに登録されたようですぐに私のスマホにスタンプを送って来た。機種を変えてもラインは引き継げるはずだが、まあ気にしないでおこう。

彼女とラインのやり取りをしているのを見た隣りの女の子が私に話し掛けてきた。

「お店でラインはダメ。彼女をペイバーしなさい」

と言う。するとキラキラちゃんが彼女にタイ語で何かを伝えたようで、

「オッケー あなた、はじめまして」

と今度は日本語で挨拶をしてきた。そうだ、日本語を聞いて思い出した。彼女はキラキラちゃんのルームメイトで一度電話で話したことがあった。彼女にお金を送れ、と言う内容だったが。

「あー!彼女はあなたのルームメイトでしょ?覚えてる。電話で話した」

「そう!そう!」

あの時のルームメイトに会えたのは奇遇だが、少しも可愛くないのが残念だ。

しばしの間彼女達と話し、また今度会おうと言ってチェックビン。私にその気がないのが分かったのか彼女からペイバーの誘いは無かった。彼女の目は相変わらずキラキラしていた。機会があればまた一緒に帰ることもあるやもしれない。だが今日の私にはハッピーのママがいる。気持ちが変わることはなくCRAZY HOUSEを出た。

CRAZY HOUSEにも弟の目にかなう女の子は見つからなかったようだ。続いてBACCARAに入るも好みの女の子は見つからないようで、すぐに見切りをつける。LIVING DOLLS、PEPPERMINTと見て廻るが結果は同じ。私の本命が待つHAPPYに入店することとなった。

入店して席に案内される。私のハッピーママはちゃんといるのだろうか。”あなたを待っている” というラインが途中送られてきていたのでおそらくいるのだろうが、すぐには見つからない。ドリンクをオーダーして、ついでに店内を探してみようとトイレに向かう。周囲を見ながらトイレに行くが彼女は見つからず、用を足して自分の席に戻ると、そこには不敵な笑みを浮かべた彼女が座っていた。

(次回に続く)