向かうはウォーキングストリートだ!

向かうはウォーキングストリートだ!

ホテルでシャワーを浴びて早速ウォーキングストリートに向かう。

ネット情報からソンテウなるものに乗って移動できるのは知っていたが乗り方がわからなかった。どのソンテウに乗っていいかもわからない。

ソンテウは保留とし、歩いてウォーキングストリートに向かう。

沢山の女性が店先に並んでマッサージの客引きをしている。

なんと言っているのかハッキリかわからないが、おそらく”ウェルカーム!”と言っているのだろう。

「ウェルカム カー !」

「ねぇ、なんかタイ語って可愛いく聞こえない?」

「わかる!おばさんでも可愛く聞こえる笑」

「だよね笑」

「てか、ウェルカムは英語だけどな…」

ホテルを出て、途中簡単な食事を済ませつつ20分は歩いただろうか、ウォーキングストリートに到着した。

すごい人混み。ギラギラのネオン。ガンガンに洩れ聞こえる音楽。そして露出したユニホームを着て立っている女の子達。

バーらしき店の看板に”GOOD GUYS GO TO HEAVEN. BAD GUYS GO TO PATTAYA “と書かれているのを見つけた。噂通りの街だ。

異次元の活気に呆気にとられて歩いているとセーラー服を着た二人組に兄弟共に腕を掴まれた。あっという間に捕獲され誘われるがままにゴーゴーバー初入店となったのはGINZAだった。

想像とは違って小さな店だった。窮屈そうな席に案内される。私の腕を掴んだ娘がそのまま密着気味に私の隣りに座り日本語で話し始めた。

「あなた日本人でしょ?」

「そう、ジャパン」  あ…ジャパンて

「あなた名前はなに?」

「ヨシ」

「ヨキィ?」 

「…そう」ちょっと違うけどな

「私はBです」

「よろしく。Bは可愛いね!」

「ホント?」

「ホント」

そう言うとニコニコしながら突然キスをしてきた。

聞きしに勝るゴーゴーだった。簡単な会話をしながら何度もキスをしてくる。

…あかん!弟にオレのキッスを見られちゃう⁉︎…

そう思って隣りの弟の動向を見るとニヤついた顔で同じようにキスをしながら、横目でオレを見ていた。

…うわっ!弟のキッスを見てしまった!…

…あ、いや、同点だからいいか…

「ホテルはどこ?一緒にホテル行く!」

「え、もう⁉︎」

Bの執拗なキス攻撃は止まらない。

そう、だから仕方がない。こんなことされてガマンできない。

私は入店15分でBを連れて帰ることに決めた。

「ねえ、オレこのコと帰りたいんだけど」

「マジ?いいよ!オレもこのコと帰りたいから笑」

すんなり話が進み、2人を連れ出すことになった。ペイバー代と言われる連れ出し料1000Bとショートのチップ代3000B。

チップは後で女の子に払う事となり交渉成立。交渉成立というか、それが高いのか安いのかもわからないので言い値成立だった。

弟が決めたコの名前はNという。Nも日本語を流暢に話す元気で可愛いコだった。

Nにおなかはすいているかと聞かれたが、すいていないと答えるとウォーキングストリート内のバービアで少し飲んで行こうという事になった。

“FLOG”というバービア群を一番奥まで進み、海沿いのテーブル席に座る。

とても気持ちがいい。普段はお酒を飲まない私だがビールが美味しく感じる。

Nはよく話す。日本の大阪が好きだとか、俳優の誰がカッコいいだとか、日本人はどうだとか。

一方で私の相棒のBは全く話に加わらず、ずっとひとりでスマホをいじっている。

…しまった。やられた…

キスの罠にまんまとハマって連れ出したけど、店外では一緒に楽しむ気は毛頭ないらしい。ハズレを連れて来てしまったのかもしれない。

いや、もしかしたらBが標準なのかもしれないけど、Nは楽しそうにしている。

…羨ましいぞ弟よ…

1時間ほど飲んでバーを出る。Bに対して残念な気持ちのままホテルに向かう。

ホテル到着後弟達と別れて部屋でBと2人になった。

部屋に入るなりシャワーに行ってと言われる。

…早速ですか?カップルの団欒的なのは無しですか(寂)…

もはや期待はしていなかったので、言われるがままにシャワーを浴び、交代で彼女がシャワーを浴びるのを待った。

結果、可もなく不可もなく。

手を抜くような事は無いが、終始事務的な雰囲気で盛り上がりは無かった。

事が済むと浴室へシャワーを浴びに行き、着替えて戻ってきた。

チップの3000Bを渡すとタクシー代200Bも欲しいと言う。なんだか釈然としない気持ちだったがプラス200Bを渡すとバイバイと言って帰っていった。

バルコニーに出てタバコを吸う。

弟はどうしてるのだろうか?

このまま寝てしまうのは勿体ない気がして、ラインで様子を伺ってみる。

どうやらNもすでに帰ってひとりでいるようだ。

時間は深夜の1時だったがホテル付近で軽く飲もうと誘い再び外出。

ふらっと近くのバービアに入った。客は誰もいなかったが、まだ営業しているようだった。

カウンターの中で客を待っていたお姉さまとおばさま達が、こっちに座れとカウンター席に手招きしていたが、ここでいいよとゼスチャーをして少し離れたテーブル席に座る。

言葉のわからない我々にバービアのカウンター席はまだ敷居が高く思われた。

それに、こんな時の男同士は報告会と反省会をする必要があり、それは兄弟でも同じである。レディ達に邪魔されずゆっくり話せるテーブル席が好都合だった。

「どうだった?」

「普通に楽しかったよ。バイブ持ってないのか?って言われた笑」

「ほんとに⁉︎いいなぁ楽しそうで」

やっぱりNは楽しそうだった。

「携帯ちゃんはどうだった?」

「携帯ちゃん?Bのこと?」

「だってずっと携帯いじってたじゃん笑」

「確かに笑。こっちは事務的な感じで寂しくなっちゃったよ。キトゥンだよキトゥン!笑」

「せっかく来たのにゴーゴー1軒だけで速攻で連れ出すとかどうなの笑」

「いやあれはやむを得ない。衝撃的すぎた笑」

「明日はちょっとお店まわろうよ」

「いいよ笑」

そんな話をしていると、カウンター内にいたお姉さま達が痺れを切らして我々のいるテーブルに座りこみ話し掛けてきた。なぜかあっという間に彼女達と盛り上がった。だか、正直彼女達と何を話したのかは記憶にない。いや言葉がわからず、話の内容はそもそも知らない。それでも楽しく酒が飲め、Bが帰った時の後味の悪い気分はすっかり消えて無くなっていた。

深夜3時頃、ホテルに戻り長い一日を終え眠りにつく。明日はどんな一日になるのだろうか。

(次回に続く)